2010年12月26日日曜日

あの夜のハイライト

ワールドサッカーダイジェスト(WSD)に各国記者のコラムがありますが、最近読んだドイツ編では「マガトによってもたらされた矛盾と独裁」とか「傲慢で威圧的なファン・ハール」とか辛口な内容でした。
今回は、「日本人選手に対する評価を変え、ドイツに新たな価値観をもたらしたのが長谷部。香川と内田の活躍も、この ”良き道しるべ” がいたからこそ」。ドイツに本格的な東アジア・ブームが訪れそうだということで書かれてます。

1㌻目に香川の写真で、脚注に「1年目のドルトムントで極上の輝きを放ち続けている香川は、東アジアの選手でもブンデスリーガで主役になれることを証明した」とあります。
ただ、冒頭の見出しには「内田の評価を大きく変えたリヨン戦のアーリークロス」とあって1㌻目の大半は内田のことについて書かれています。

WORLD SOCCER DIGEST 2010年1月6日号 (No.330)
Text by Ludger SCHULZE (ルドガー・シュルツェ)
ドイツ最大の日刊紙、「南ドイツ新聞」のサッカー編集長。ブンデスリーガ取材歴は35年に及び、ドイツ代表は78年から追いつづける。(以下、略)。
内田の評価を大きく変えたリヨン戦のアーリークロス

(略)

シャルケは、国内でもっとも熱いサポーターを有することで知られるクラブだが、派手な勝ち方でファンを熱狂させたかと思えば、次の試合では目も当てられない内容で大敗を喫するというように、今シーズンは不安定なパフォーマンスが続く。

そんななか、ファンのフラストレーションを解消する快勝を収めたのが、11月24日に行われたチャンピオンズ・リーグ。フランスの強敵リヨンを3-0のスコアで葬った一戦だ。試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、今夏にレアル・マドリーから加入したラウール・ゴンザレスが、百戦錬磨のベテランとは思えない無邪気な笑顔を見せながら、チームメイトと喜びを分かち合っていた。その表情が、すべてを物語る。

ただ、この試合でもっとも称賛されるべきは、ラウールでもなければ、2ゴールを挙げたクラース=ヤン・フンテラールでもない。勝利を決定づける3点目をアシストした、内田だろう。

小柄で身体の線が細く、ともすれば少年のような印象を印象を抱かせる内田は、終了間際の89分、右サイドをタイミングよく駆け上がると、ペナルティーエリアに走り込む約40㍍先のフンテラールの足元に、ピンポイントのアーリークロスを供給。ゴール前で抜群の勝負強さを発揮するフンテラールが、この好機を逃すはずがない。ボールを巧みにコントロールしたオランダ代表FWは、相手DFをかわして右足で冷静に流し込んだ。

思わず見とれてしまうほど、美しい軌道を描いた完璧なクロスだった。内田のプレーこそ、あの夜のハイライトであり、「シャルケをCLのベスト16に導いたクロス」として、ファンにも永遠に記憶されるだろう。上昇気流に乗り切れないチームに、彼はポジティブな風を吹き込んだのだ。

内田はサポーターからも、そしてチームメイトからも厚い信頼を得ている。彼はいまや、完全にチームの一部となった。

ウチダの「チ」の発音が難しいという理由から、シャルケでは”USCHI(ウッシー)”と呼ばれる内田の入団が発表されたとき、多くのメディアが「フェリックス・マガト監督は間違った買い物をした」と酷評したものだ。「頼りない肉体だ」と華奢に見える体格が批判の的にされたことも、一度やニ度ではない。

たしかに、そう映っても仕方のない現実があった。開幕前のキャンプに、内田は肺炎を患い参加できなかったのだ。また、67㌔のウエイトでは、ブンデスリーガの大柄なFWを相手に歯が立つとは思えなかった。

しかし、彼の本領は間もなく発揮される。疲れを知らない走力、正確なパスとボールコントロール、屈強な相手と競り合えるフィジカルーーー。内田は高いクオリティーを備えた、生まれながらの右サイドバックである。

内田を起用するに当たって、マガトには一切の躊躇い(ためらい)がなかった。もとよりマガトは、強情で他人の意見に左右されない性格の持ち主だ。自分がこれと思った選手の真価を、早い段階で見極めたかったというのもあるだろう。

結論からいえば、内田の獲得は間違っていなかった。リヨン戦のパフォーマンスは内田個人だけでなく、アジア、とりわけ東アジア地域の選手の評価を見直すきっかけにもなったはずだ。

東アジアとの間に横たわる水門を開いた長谷部の成功

(略)

南米の選手より比較的安値ビジネス的な”旨味”もある

(略)

かなりヨイショ!!しましたね。^^
内田自身も今季の印象に残るプレーとしてこのクロスを上げたようです。(12月24日付け日刊スポーツ

シーズン開幕前、シャルケは7月15日からオーストリアで2次キャンプを行いトレーニングマッチを4試合、23日にドイツ国内に移動して3試合行っています。
風邪で19日からのトレーニングを数日回避した内田は、結局その後のトレーニングマッチには出場できず、キャンプインから組まれた7試合のうち出場できたのは最初の2試合だけでした。
その後プレシーズンマッチ、スーパーカップの3試合に出ただけでシーズン突入でした。
トレーニングマッチ
7月16日(金) 前半RBで出場。
7月18日(日) 前半LBで出場。(右ではなく左です。)
7月21日(水) 欠
7月22日(木) 欠
7月23日(金) 欠
7月24日(土) 欠
7月25日(日) 欠
プレシーズンマッチ
7月31日(土)対ハンブルク 30分ハーフの前半出場。
8月01日(日)対バイエルン 30分ハーフの48分から出場。
スーパーカップ
8月07日(土)対バイエルン フル出場

シャルケがオーストリアからドイツ国内へと移動した7月23日、地元紙WAZ(DerWesten)は選手個々の評価みたいのを掲載していました。
記事タイトルは直訳すると「シャルカーの勝者と敗者」。内田に関する評価です。
Atsuto Uchida: Von den Fans erst für einen Jugend-Gastspieler gehalten, konnte das Fliegengewicht nur in der Offensive für ein bisschen Wind sorgen. Der erste Gegenwind haute ihn dann um. Vielleicht hatte er bei der Rad-Abfahrt zum Training auch Zug bekommen. Fehlte die Hälfte der Zeit dann wegen einer Sommergrippe. Prognose: Ein Wiedersehen entweder im Fitnessstudio oder in der Regionalliga.

» Die Schalker Gewinner und Verlierer / 23.07.2010 - derwesten.de
最後の「Prognose: Ein Wiedersehen entweder im Fitnessstudio oder in der Regionalliga.」がこの記者さんの結論なんだけど、「内田は、筋トレルームかアマチュアチーム(4部・シャルケⅡ)行きだろう。」
キャンプのほとんどを棒に振った状況なので仕方がないと言えば仕方ないけど、それでも当時これ読んだ時ちょっとめげた。w
結局、ぶっつけみたいな感じでのシーズン突入の状況でしたし、開幕してからも小指の骨折とかありましたし、ホークラントの離脱がなければまた違った状況もあったでしょうね。
そのホークラントの完全復帰があるのか、外野としては1月5日からのトルコキャンプが気になるところでもありますが、内田はアジアカップです。

地元のサポーター:「ウチダはいい買い物だった!」 - twitter.com/skizaki

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